登山家の田部井淳子さんが代表を務める山岳環境保護団体「日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト（HAT-J（*１））」が賛同団体と協力し、ネパールのNGO（*２）であるSagarmatha Pollution Control Committee（SPCC）と連携してネパール、クーンブ地方（エベレスト周辺地域）のチョプルン村で行っている「りんご」を植樹する活動です。地元地域の生活向上と環境保護をねらいとして、アップルプロジェクト2000を進めています。
エベレスト登山の玄関口になるクーンブ地方のルクラ村からベースキャンプに通じる街道では、登山者やトレッカー増加に伴い燃料として樹木が切られ、緑が少なくなるなどさまざまな問題が生まれています。緑を増やし、村の生活を向上させるためにりんごの苗木を植え、収穫した果実を販売・加工することで村の収入を上げて経済力を強化し、環境の保護では、山が裸になることも防ぐことができればという思いからりんごの植樹、りんご園づくりを実行することになりました。
現在、村にある国有地にりんご園を設け、村や地域住民にりんごの苗木の配布を行っています。また年に１回程度、現地でワークショップを開催。堆肥づくり、りんご栽培農家巡回、苗木配布、現地住民との交流などを行っています。活動を開始して１２年目にあたる２００７年には、約2100本のりんごの苗木をネパールに植樹し、りんご園を開設してきました。
1989年、エベレスト初登頂者のエドモンド・ヒラリー卿はヒマラヤの環境悪化を憂慮して、「登山者の手で山を守れ」という発言のもとに、山岳環境保護の国際組織「ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト」を設立しました。その声に日本の登山者が呼応し、1990年秋に設立されたのが、日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト（HAT-J）です。
HAT-Jは、山や自然を愛する人々が、山岳環境保護について考え、自分たちの出来ることから実行していこうという団体です。現在、HAT-Jの会員は約1,000名。日曜ハイカーや草花を愛する主婦の方までメンバーは多彩です。1990年から、自然に持ち込んだものは持って帰ろうという「テイクイン・テイクアウト」運動、山からゴミをなくそうという運動を続け、いま、山からゴミは少なくなってきました。一人ひとりがマナーを守り、美しい自然を残していくために、行動することが大切です。ネパールでは日常生活で薪を使うため、杜の木が伐採され、土砂崩れもおきています。地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河がとけ、大洪水の恐れもあるといわれています。村の人々と一緒に木を植えることで、環境意識を高め、またゴミを出さない方法などを実施し、山岳地域の環境を守り、美しい自然を次世代に引き継ぐことを目的にしています。
「私たち日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト（Himalayan Adventure Trust of Japan略称：ＨＡＴ－Ｊ）は、ネパールのエベレストの山麓にあるチョプルン村にりんごの樹を１９９５年から植林し育てています。昨年は５６０個のりんごが実り、村の人々に喜ばれました。２００８年４月からアルソア本社株式会社の皆さまと共に活動することができ、本当にうれしく思っております。今後も現地の村の人々と共にこのりんご園を充実させていきたいと思っております。ネパールの美しい山々、そこに暮らす人々と手を取り合い、ヒマラヤのりんごに夢を託してみませんか。皆さんの参加をお待ちしております。」
